研究概要 |
大腸癌はわが国における癌の死亡者数の第3位であり、2015年にはさらに増加(約66,000人)すると予測される。臨床病期がII期III期の進行大腸癌場合は所属リンパ節郭清を3群まで行なっても一定の割合で再発するため術後補助化学療法と、さらに切除不能例や再発例に対する化学療法の治療成績向上が重要である。最近では、進行大腸癌(II期III期)の術後補助化学療法の半年間の投与が手術単独群と比較して再発率を僅かながら(しかし有意に)低下させ3-5年生存率を改善することが臨床第3相試験(無作為比較試験)で明らかにされている。しかし、術後補助化学療法により真に恩恵を受ける(予後が改善する)患者は全体の約30%程度(あるいはそれ以下)と考えられ、真に補助化学療法が必要な患者を層別化する分子マーカーの開発が必要である。そこで本研究は、第1に腫瘍の分子解析により進行大腸癌(II期III期)の術後に予後を予測する分子マーカーを開発すること目的にする。第2に、切除不能進行・再発大腸癌に対する化学療法に対する抗がん剤感受性予測について分子マーカーを探索すること目的にする。平成22年度はDNAマイクロアレイ解析により、進行大腸癌がunsupervised analysisで大きく3つのクラスターに層別化されることを発見した。このクラスターは明らかに無増悪生存や全生存に差があり、この中から新たにがんの再発・予後を予測する発現プロファイルを同定し、進行大腸癌予後を予測しうるか後向き研究を行った。また、T-CORE0702切除不能結腸・直腸癌に対するFOLFIRI+bevacizumab併用療法とIRIS+bevacizumab併用療法の安全性確認試験」の抱き合わせ研究として、イリノテカンを含む化学療法の奏効率、無増悪生存に関する感受性を予測する遺伝子セットを抽出している。
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