研究概要 |
血球細胞DNAのメチル化頻度とがん化との関連の解析 1.血球DNAのメチル化頻度の検討法の開発 がん細胞では、すでに多くの遺伝子についてメチル化が報告されている。しかし、血球を含む正常細胞では、メチル化が検出される遺伝子は少なく、メチル化の頻度も低い。そこで、いくつかの候補遺伝子について、胃がん患者・健常人各35人の血球DNAにおけるメチル化の程度を検討した。その結果、N33は一部の正常血球DNAでもメチル化を示し、適当と考えられた。N33について定量的PCR法での条件も検討した。 2.胃がん患者と対照健常人の血球DNAのメチル化の検討 胃がん患者300人、および対照健常人300人の血球DNAのバイサルファイト処理を行った。N33について、定量的PCR法で血球DNAのメチル化を解析した。メチル化の程度が10%以上、5-10%、5%未満に分けると、各々の数は、対照健常人では19, 87, 189例、胃がん患者はで29, 86, 175例であった。 3.血球DNAのメチル化の程度とがんの有無、および他の要因との関連の解析 胃がん患者の血球DNAにおけるメチル化の程度と、健常人血球DNAのメチル化程度を比較して、差があるか否かを解析した。10%以上と10%未満に分けると、オッズ比は1.61(95%CI : 0.88-2.95, p=0.120)で、10%以上だとがんである可能性が10%未満の場合より1.61倍であった。 また、年齢は、50歳未満、50-64歳、65歳以上に分けると、年齢が上がるにつれてメチル化頻度が有意に上昇した。 メチル化とその他の生活習慣要因との関連も解析したが、有意差を示す因子は無かった。 今後さらに、メチル化を調べる遺伝子を増やす予定である。
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