研究課題
気管支喘息症などのアレルギー性疾患の発症におけるRSウイルスによる感染の役割を解明し、同時にRSウイルスによるアレルギー発症における分子遺伝マーカーを同定することによって、新しい免疫療法やワクチンなどを用いた予防法を開発することを目的とした。本年度では、高IgE産生系マウスとして知られているBALB/cマウス6匹を1群として、自動車排出物質(Diesel exhaust particulate, DEP)投与の有無およびアレルギー予防フィルターの有無の4群、計24匹に対して、ダニ抗原を用いて感作させ、DEPによる気管支喘息発症の機序およびフィルターの予防効果および軽減効果を検証した。DEPによって著しい杯細胞の過増生・浮腫部位への好酸球浸潤が観察されるが、フィルター処理によって杯細胞の過増生・好酸球浸潤、好中球浸潤が抑制され、肺の炎症が抑制されていることがわかった。またDEPはp38MAPK経路の活性化を通じて、好酸球細胞の遊走能の増加を、またNFκBの活性化を通じて、好酸球のMCP-1の産生、IL-8産生を増加させた。したがってDEPは好中球、マクロファージ、好酸球の浸潤を過剰に促進させることにより、炎症の拡大を引き起こしていることが推測された。また0-12歳のスギ花粉症患者75人と、その対照の98人において、Toll-like receptor(TLR)4およびCD14遺伝子に関する分子疫学(患者対照研究)を行った。TLR4のAsp299GlyおよびThr399Ile、CD14のC159Tのアレル頻度は、両群に有意な差はなかったが、RSV抗体価の高い群においてのみ、TLR4の299Glyと399I1、CD14のC159Cが有意に高い頻度を示した。したがって、RSVの感染によるアレルギー感作および発症において、TLR4およびCD14の関与が大きいことが推測された。
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