研究課題
ごく最近のアレルギーの予防には、従来の衛生仮説に取って代わり、RSVの感染に対する予防および早期発見の重要性が唱えられてはいるか有効な方法は見出されてはいない。本研究では、RSV感染における好酸球を中心とした分子機構を明らかにするとともに、分子機構の解明から導かれる新しい免疫療法として、RSウイルス由来のS糖タンパク遺伝子を用いたアレルギー症予防DNAワクチンを開発することを目的とした。本年度の研究では、動物実験とワクチン設計から成る。動物実験では、高IgE産生系マウスとして知られているBALB/cマウス6匹を1群として、4群、計24匹に対して、RSV前投与と後投与の有無で4群とし、RSVの投与が無い群では、不活化RSVを投与した。その結果、RSVによるアレルギー発症の分子メカニズムとして、樹状細胞のTh2サイトカイン(IL4,IL5,IL10,IL13)の活性化が重要であることが遺伝子発現とプロテオーム解析によって認められた。ワクチン設計では、DNAワクチンは、RSウイルス由来のS糖タンパク遺伝子が、IL2のシグナル配列とヒト胎盤アルカリホスファターゼのC末端膜貫通ドメインの間に目的遺伝子をクローニングした結果、細胞表層に提示、認識されるようになった。この際、SV40エンハンサーの付加により、非分裂細胞において核内に輸送されたプラスミドの遺伝子発現レベルを向上させることができた。さらに、E.coliにおけるpVACの複製と選択に必須のバクテリアに特徴的な配列として、Ori遺伝子の最小化や、CpGフリーのゼオシン耐性遺伝子(Sh ble-ΔCpG)を構築することによって、免疫原となるCpGモチーフの数を減じることが認められた。今回、開発されたRSウイルス由来のS糖タンパク遺伝子を用いたアレルギー症予防DNAワクチンの有効性を次年度は動物実験によって証明する。
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