研究課題/領域番号 |
20390172
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
及川 伸二 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10277006)
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研究分担者 |
山嶋 哲盛 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60135077)
村田 真理子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
平工 雄介 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30324510)
加藤 琢磨 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60224515)
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キーワード | パーキンソン病 / 黒質 / 神経細胞死 / カルボニル化 / 活性酸素 / 酸化ストレス / プロテオミクス解析 / 分子シャペロン |
研究概要 |
代表的な神経変性疾患であるパーキンソン病においては、主たる病変部である黒質の神経細胞死に活性酸素種が重要な役割を果たすことが広く知られている。カルボニル化は不可逆性の酸化損傷であり、タンパク質の機能損傷や細胞の変性を引き起こす。我々は、活性酸素による神経細胞死に関与するタンパク質を明らかにするために、完全一過性脳虚血により高度の酸化ストレスを暴露したサル脳を用いて機能プロテオミクス解析によりカルボニル化タンパク質の網羅的な解析を行っている。本研究では、黒質(SN)において酸化損傷タンパク質の解析を行った結果、神経細胞死が起こる虚血再灌流後15日目でカルボニル化が1.5倍以上増加したスポットを96個認めた。これらのスポットの中からコントロールに比べ、虚血再灌流後5,7,15日目でカルボニル化が経時的に増加したスポットについてMALDI-TOF/TOFを用いてタンパク質の同定を行った。その結果、分子シャペロンのheat shock protein(Hsp)70-1とT-complex protein 1 subunit alpha、エネルギー代謝に関与する酵素類mitochondrial aconitaseやglutamate dehydrogenase 1など、細胞骨格タンパク質dihydropyrimidinase-related protein 2が酸化損傷していることが明らかになった。mitochondrial aconitaseは、パーキンソン病患者でその機能低下が認められ、またHsp 70においては、神経細胞死の保護に関与していることが報告されている。mitochondrial aconitaseやHsp70-1を含むこれらのタンパク質の酸化損傷が、酸化ストレスによる黒質の神経細胞死に関与すると考えられる。
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