研究課題
パーキンソン病の日本における有病率は人口10万当たり100~150名と多い。パーキンソン病の発症や進行に酸化ストレスが関与することはよく知られているが未だ不明な点も多く、またその予防法も確立されていない。パーキンソン病の主たる病変部である黒質の神経細胞死に活性酸素種が重要な役割を果たすことから、本研究では、高度の酸化ストレス暴露モデルとして、一過性全脳完全虚血ザルを作成し、パーキンソン病の運動機能障害や知的機能障害をひき起こす脳内青任部位において、プロテオミクス解析により神経細胞死を惹起するタンパク質の酸化的修飾を網羅的に解析し」その損傷部位を同定した。昨年度明らかにした酸化損傷タンパク質のうち、Heat shock 70 kDa protein 1(Hsp70-1)では、361番目リジン、469番目アルギニンが酸化修飾を受けていることを明らかにした。同じタンパク質ファミリーの一つである70 kDa heat shock cognate protein(Hsc70)は469番目のアルギニンの突然変異により機能低下が引き起こされる。また、黒質以外でも、Hsn70-1の469番目アルギニンが酸化修飾を受けている可能性が示された。Hsp70-1は分子シャペロンとして損傷・変性したタンパク質をリソソームに運び、リサイクルしている。最近、Hsp70-1がリソソーム膜の安定化に関与し、HSD70-1の減少がリソソーム膜の不安定性をもたらすことが報告された.分担研究者の山嶋らとの研究により酸化損傷されたHsp70-1はタンパク質分解酵素カルパインにより容易に切断される事が明らかになった。従って、酸化損傷されたHSD70-1はカルパインにより分解され、リソソームの破裂をもたらし神経細胞死を引き起こすことが示唆された。これらの結果から、酸化損傷されたHsp70-1の蓄積は酸化ストレスによる神経細胞死のバイオマーカーになる可能性がある。
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