研究課題/領域番号 |
20390175
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅彦 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20256390)
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研究分担者 |
藤原 泰之 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (40247482)
長谷川 達也 山梨県環境科学研究所, 環境健康研究部, 研究員 (90208489)
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キーワード | カドミウム / 鉄輸送 / 毒性学 / 妊娠マウス / 胎仔毒性 |
研究概要 |
妊娠マウスにおける鉄の体内動態および消化管での鉄輸送関連遺伝子の発現変動に及ぼすカドミウム妊娠期曝露の影響を検討した。C57BL/6J妊娠マウスに、10mg/kgのカドミウムを妊娠1日目から18日目まで1日1回強制経口投与し、妊娠19日目にエーテル麻酔下で心採血した後、母体の肝臓、腎臓、十二指腸、胎盤および胎仔を摘出した。胎仔については、体重および身長を測定した後、さらに肝臓を摘出した。それらの組織中鉄濃度を測定した結果、母体肝臓および母体腎臓ではカドミウム曝露による鉄濃度の有意な変化は認められなかったものの、母体血清、母体十二指腸、胎盤および胎仔肝臓中の鉄濃度はカドミウムの妊娠期曝露によって有意に減少した。食物から摂取する鉄は、主に十二指腸から吸収されることから、次に、カドミウム妊娠期曝露における母体十二指腸の鉄輸送関連遺伝子の変動について検討した。その結果、カドミウム曝露群ではferroportin 1およびduodenal cytochrome b (Dcytb) mRNA量の顕著な減少が認められ、divalent metal transporter 1 (DMT1) mRNA量もカドミウム曝露によってコントロールの約50%まで減少した。一方、hephaestinのmRNA量は、カドミウム曝露による影響を受けなかった。また、カドミウム妊娠期曝露によって胎仔の体重および身長の有意な減少が認められ、カドミウムによるマウス胎仔の発育阻害が観察された。以上の結果より、カドミウムは、妊娠期のマウスの十二指腸において、ferroportin 1、DcytbおよびDMT1のmRNAの発現を抑制することを通じて鉄の吸収を阻害し、母体並びに胎仔の鉄欠乏を引き起こす結果、胎仔の発育阻害に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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