研究課題/領域番号 |
20390175
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅彦 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20256390)
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研究分担者 |
藤原 泰之 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (40247482)
長谷川 達也 山梨県環境科学研究所, 環境健康研究部, 主任研究員 (90208489)
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キーワード | カドミウム / 鉄輸送 / 非ヘム鉄 / ヘム / マウス / ヒト小腸上皮細胞 / 毒性学 |
研究概要 |
昨年度までの検討により、成熟マウスの十二指腸およびヒト小腸上皮細胞モデルであるCaco-2細胞において、非ヘム鉄輸送関連遺伝子の発現がカドミウム曝露によって速やかに抑制されることを明らかにした。本年度は、成熟マウスの十二指腸およびヒト小腸上皮細胞モデルであるCaco-2細胞における非ヘム鉄輸送関連遺伝子のタンパク質発現に及ぼすカドミウム単回経口投与の影響について検討した。8週齢のC57BL/6Jマウスにカドミウム50mg/kgを単回経口投与して、3時間後に十二指腸を摘出し、非ヘム鉄輸送に関わるdivalent metal transporter 1(DMT1)およびferroportin1(FPN1)の各タンパク質量をウエスタンブロット法で測定した。その結果、カドミウムを投与したマウスの十二指腸におけるDMT1およびFPN1のタンパク質量は、いずれもコントロール群に比べて有意に低下した。また、Caco-2細胞においても、カドミウムがDMT1およびFPN1タンパク質の発現を抑制することが示された。 次に、成熟マウスの十二指腸におけるヘムの輸送体であるheme carrier protein 1(HCP1)の遺伝子発現に及ぼすカドミウム単回経口投与の影響について検討したところ、HCP1 mRNA量も非ヘム鉄輸送関連遺伝子と同様にカドミウム投与3時間後にコントロール群と比較して顕著に減少した。 以上の結果より、カドミウムの経口曝露は十二指腸で非ヘム鉄およびヘムの輸送関連遺伝子の発現を抑制することを通じて、消化管からの鉄吸収を阻害する可能性が示唆された。
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