研究概要 |
わが国においても乳がんはすでに10年前から女性のがん罹患率のトップになっており、その増加傾向は特に閉経後女性で著明である。そこで高危険群に対し効果的・効率的に予防対策を策定するための情報を得ることをめざし、遺伝的要因ならびに生活習慣要因について検討を行う。エストロゲンは乳がんの危険因子として重要であり、その代謝に関与する遺伝子群の多型は、酵素の発現量や活性に影響し卵巣や末梢組織でのエストロゲン産生量に差が生じ乳がん罹患リスクに影響を及ぼすことが推察される。そこで閉経後女性において重要な役割を果たす卵巣外エストロゲン産生のkey enzymeであるaromataseをコードするCYP19遺伝子に焦点をあてtag SNPとなるCYP19遺伝子多型を検討した。すでに収集され保存されている閉経後非がん患者100例の生体試料を用いHapMapプロジェクトに基づきtagSNPとなる25のCYP19遺伝子多型をTaqMan法により遺伝子解析を実施、血清ホルモンレベルへの関与が大きいことが示唆されるハプロタイプ(Block1〜Block7)を同定した。また、非がん患者群における血清のestrone(E1),estradiol(E2),testosterone(T),sex horomone binding globlin(SHBG)の測定を行った。初潮年齢が早かった人ほどE1、Tレベルが高く、出産未経験者では血清Tレベルが高い傾向であった。さらにBody Mass Indexが大きい人ほど血清SHBG濃度は低く強い関連があることが明らかになった。来年度は症例・対照研究の手法を用いてCYP19遺伝子多型と閉経後女性血清ホルモンレベルとの関連を検討する。
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