研究課題/領域番号 |
20390180
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
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研究分担者 |
岩田 豊人 秋田大学, 医学部, 助教 (00321894)
嶽石 美和子 秋田大学, 医学部, 助教 (70375236)
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キーワード | 有害化学物質 / 地域保健 / 産業保健 / 脳・神経 / 腎機能影響 / リスク評価 / 鉛 / トリクロロエチレン |
研究概要 |
地域保健領域の有害因子の低濃度慢性曝露によるヒト健康影響を明らかにする目的で以下の研究を行った。 (1) 鉛毒性の健康影響が現れ始める血中鉛濃度(臨界濃度)の解析 一般成人および小児の鉛毒性に関わる過去-現在までの論文のうち、Benchmark dose法を使用している論文をPubMedで収集し、文献学的に検討した。成人において最も低いレベルで有害影響が見られる臓器(臨界臓器)は神経系であり、その臨界濃度は10.7〜17.5μg/dLと推定された。小児においては、高次中枢神経(知能およびパフォーマンス)が臨界臓器であり、臨界濃度は5μg/dL以下と推定された。本研究の成果は産業保健(許容濃度)、環境保健、食品衛生領域における基準値を設定する際の基本データになり得る。 (2) 低濃度トリクロロエチレン曝露による神経毒性の研究 秋田県内でトリクロロエチレンを使用している5事業所に依頼し、トリクロロエチレンの尿中産物(トリクロロエタノールおよびトリクロロ酢酸)と神経運動機能(身体重心動揺、手のふるえ)を測定し、両者の関係を検討した。低濃度トリクロロエチレン曝露により身体重心動揺やふるえが増加する傾向が見られ、この結果を論文に纏めているところである。 (3) ジクロロメタン作業者の腎機能に関する研究 ジクロロメタン作業者約150名の尿中ジクロロメタン濃度と腎機能指標の他、尿中鉛、カドミウム、水銀濃度を測定した。次年度、このデータを解析する予定である。
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