研究概要 |
脂肪細胞から分泌されるアディポカインが、肥満に伴うインスリン抵抗性に関連することが解明されつつあり、メタボリック症候群から、脳心血管疾患等への進展に強く関連していることが示唆されている。一方、メタボリック症候群は、複数の遺伝子、環境因子や生活習慣等から影響を受けつつ発症すると考えられ、大規模な一般人の集団に対し、これらの影響とその組合せによる効果の検討を、縦断的な追跡調査により行う必要がある。本研究では、日本の一般人で、関連する遺伝子多型が、メタボリック症候群の発症に影響を与えているのか、生活習慣など、既知の危険因子を考慮しつつ、予防医学的に評価することを員的としている。本年度は、アディポネクチン遺伝子(45T>G、276G>T)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ遺伝子(161C>T)の測定が終了した。結果として45T>Gは、男性TT型625人(52.4%)、TG型487人(40.9%)、GG型80人(6.7%)、女性TT型782人(53.6%)、GT型569人(39.0%)、GG型108人(7.4%)、276G>Tは、男性GG型609人(51.1%)、GT型477人(40.0%)、TT型106人(8.9%)、女性GG型700人(48.0%)、GT型628人(43.1%)、TT型129人(8.9%)、161C>Tについては、男性CC型820人(68.8%)、CT型344人(28.9%)、TT型28人(2.3%)、女性CC型1,000人(68.6%)、CT型421人(28.9%)、TT型37人(2.5%)であった。現在生活習慣との交互作用を含めて、メタボリック症候群および関連する高血圧などについて横断的に関連性を検討しているところであるが、男性においてPPAR遺伝子のCT型は、CC型に対し、軽度肥満に関するオッズ比が1.39と有意であり、さらに検討を加える予定である。
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