研究課題/領域番号 |
20390182
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60240355)
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研究分担者 |
鈴木 隆雄 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 副所長 (30154545)
阿久根 徹 東京大学, 医学部・附属病院, 特任准教授 (60282662)
馬淵 昭彦 東京大学, 医学系研究科, 准教授 (80312312)
村木 重之 東京大学, 医学部・附属病院, 特任助教 (40401070)
岡 敬之 東京大学, 医学部・附属病院, 特任助教 (60401064)
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キーワード | コホート研究 / 骨粗鬆症 / 変形性関節症 / 疫学 / 住民対象調査 / 長期縦断調査 / 危険因子 / 発生率 |
研究概要 |
急速な高齢化が進行するわが国では、高齢者の生活の質を維持向上させるために、骨折の原因となる骨粗鬆症(Osteoporosis:OP)、および膝痛、腰痛、歩行障害の原因となる変形性関節症(Osteoarthritis:OA)の予防が焦眉の課題となってきたが、わが国におけるOP、OAの疫学研究は少なく、疾病予防対策を立てる上で大きな障害となっていた。そこで、本研究において、我々は従来長期追跡を行ってきた和歌山県山村、漁村コホートに加えて、その設立目的と追跡項目に共通点が多く、地域特性が異なる東京都板橋区のコホートを統合し(統合コホート)、この統合コホートを母体として、対象者の枠を拡大し、大規模住民コホートとして新たにベースライン調査を行い情報を収集することとした(拡大コホート)。この二本立てのコホート設定には、発生率を推定するのに必要なコホートの追跡期間を短縮し、さらに新しい疾病概念や診断、治療方法にも対応できるという利点がある。本年は、まず和歌山、板橋の拡大住民コホートのベースライン調査結果を統合し、3,040人の一般住民からなる骨関節疾患予防データベースを完成した。このデータベースから、日本骨代謝学会骨粗鬆症診断基準をもちいてOPの有病率を求めたところ、腰椎L2-4で男樫3.4%、女性19.2%、大腿骨頭部で男性12.4%、女性26.5%となった。ここから本邦のOP患者数(40歳以上)を推定すると、腰椎OPの密着数は約640万人(男性80万人、女性560万人)、大腿骨頭部OPの患者数は約1,070方人(男性260万人、女性810万人)と推定された。次に膝、腰椎XX線写真を用いて、Kellgren-Lawrence法grade2以上をOAありとした場合の膝、腰椎のDAの有病率を検討したところ、膝OAの有病率は男性42.0%、女性61.5%であった。一方、腰椎OAの有病率は男睦80.6%、女性64.6%であった。ここから本邦のOA患者数(40歳以上)を推定すると、X線で診断される膝OAの患者数は2530万人(男性860万人、女性1670万人)、腰椎OAの患者数3790万人(男性1890万人、女性1900万人)となり、従来の試算よりもはるかに多いことがわかった。
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