研究課題
循環器疾患の発症率の推移と危険因子の寄与の大きさの推移を明らかにする目的で、滋賀県高島市(人口約5万5千人)において循環器疾患の地域悉皆登録および生活習慣病の発症および死亡をアウトカムとするコホート研究を実施した。1988年から2010年12月末現在までに悉皆登録において脳卒中3316例、急性心筋梗塞初発例931例を登録した。登録症例のうち1988年から2004年までの症例を用いて脳卒中および急性心筋梗塞の発症の推移について観察したところ、出血性脳卒中(脳出血およびくも膜下出血)は依然わずかではあるが減少傾向を示したのに対して、脳梗塞は一貫して微増傾向を示した。また、脳卒中および急性心筋梗塞の28日以内の急性期死亡割合の推移を観察したところ、急性心筋梗塞は男性で有意に上昇傾向を示したが、脳卒中については有意な変動は認められなかった。また、同時に実施している高島市におけるコホート研究では、2011年までに6846名(男性2600名、女性4246名)の同意協力者を得た。これらの同意者について、ベースライン調査として生活習慣に関する問診、老健法基本健診もしくは特定健診に定められている検査および本調査で実施している追加検査を実施した。また、井遺伝子試料を含む生体試料も併せて採取した。研究協力の同意を得た6846名のうち、血圧脈波検査装置(フォルムPWV/ABI)を用いて動脈硬化指標の計測ができた4164名(循環器疾患の既往のないもの)について循環器疾患発症と動脈硬化指標との関連を検討した。対象者をbaPWVの値で低値群(<14.0m/sec)、中低値群(14.0-16.0m/sec)、中高値群(16.0-18.0m/sec)、高値群(≧18.0m/sec)の4群に分け、Cox比例ハザードモデルを用いて低値群に対する循環器疾患発症の多変量調整ハザード比を算出したところ、中低値群で3.47(0.82~14.69))倍、中高値群で3.67(0.78~17.30)倍、高値群で11.48(2.54~51.86)倍の発症リスクの上昇を認め、本研究において日本人一般住民においても、baPWVは年齢、血圧とは独立した循環器疾患発症の予測因子となることを明らかにした。
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