研究課題/領域番号 |
20390193
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
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研究分担者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
木村 博子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00053299)
上村 公一 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (30244586)
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キーワード | 心臓性突然死 / コネクシン43 / 心理的ストレス / 心筋梗塞 / 心筋収縮帯 / 身体拘束 / 虚血再灌流 |
研究概要 |
異常に興奮した人を警察官や精神病院の職員が身体拘束したとき、急死することが知られている。一方、虚血性心疾患や心肥大などでは、Gap Junction(GJ)を構成するConnexin43(Cx43)が減少、脱リン酸化、GJ解離などからGJ伝導速度が減少することが不整脈の発生に寄与することが知られている。また、身体拘束は心理ストレスのモデルとして有名である。私達は、ラットを身体拘束するとCx43がGJに移行しGJの伝達速度が増すことを見出した。GJ阻害剤であるcanbonoxolone(CBX)を投与しておくと身体拘束によって、約1/4のラットに心室性不整脈が発生することを見出した。これらの知見は、身体拘束による突然死が不整脈死であることを示唆しており、虚血性心疾患等のGJ機能の低下している有病者が身体拘束などの心理ストレスを受けたときに不整脈死する機構の一端を明らかにした。 心筋収縮帯は、心臓突然死にしばしば認められる病変であり、隣接する細胞間に連続して認められるが、その原因は不明である。また、虚血再灌流で効率に認められる。私達は、ラットの冠動脈閉塞による虚血によってCx43が30分をピークにGJに移行し、GJの伝導速度を増すことを見出した。再灌流時、収縮帯の拡大はGJ阻害剤によって抑制される。収縮帯が虚血領域に限って連続して拡がることは、このCx43のGJ移行に伴うGJ伝導の=進によると考えられた。なお、心筋梗塞の拡大もGJ阻害剤によって抑制された。
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