研究概要 |
1.超高速型HPLCとTOF-MSのon-line結合の確立 既設のTOF-MS装置に、今回の科学研究費で購入した超高速型HPLCをon-lineで結合させ、オートサンプラーを用いて、24時間稼働させ、多検体を分析できる様に設定した。設定するに際して、対象とした毒物はドクツルタケキノコ毒素であるα-アマニチン、β-アマニチンならびにファロイジンである。これらは環状ペプチドであり、分子量788~919とやや大き目な分子構造をもち、一般的なODSカラムでは分離が悪い。そのため順相のTSK-gel Amide-80(トーソー、東京)分離カラムを用いて良好な結果を得た。オートサンプラー、HPLCならびにTOF-MSのon-line作動は良好で、多数バイアル検体を用意すれば、夜を徹して自動分析可能であった。得られた結果を法中毒学専門学術雑誌Forensic Toxicologyに投稿し、現在web上に発表されている。 2.違法ドラッグ類の超高速HPLC-TOF-MSによる分析法の確立に関する研究 世界各国において、いわゆる規制薬物の構造の一部分を化学的に変えると、その物質が規制薬物ではなくなる。構造の一部分が修飾されても、同様な作用を有したり、むしろ強い作用を呈することもある。この様なことが検証されれば数年後に規制薬物に指定されることとなるが、それまでは使用しても罰せられない。この様な薬物をデザイナードラッグと呼んでいる。これらの多くが日本では違法ドラッグとして扱われており、薬事法で、ある程度製造・販売等が制限されている。現時点で、ようやく16種類の違法ドラッグを収集することに成功した。従って、16種を一斉に分析するか、もしくは未だ分析法が確立されていない薬物を選別し、今回新しい検出法であるTOF-MS検出技術のメリットをフルに生かしながら、分析法の詳細を検討する。22年度の実験のために収集した違法薬物は:DOC,TMA-6,4FMP,N-メチル-4FMP,HMDMA,BDB,PMMA,MMDA-2,DOI,4-AcO-DIPT,5-MeO-MIPT,5-MeO-DALT,5-MeO-DET,4-OH-DIPT,5-MeO-AMTならびに5-MeO-DPTである。
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