研究課題
この研究ではアルコール投与後の急死について動物モデルを作成して検討した。その結果については、以下の通りである。1)ラット脳挫傷モデルにおいて、事前のエタノール投与が、24時間後の脳浮腫を増大し、死亡率を上昇させること、その脳浮腫は抗酸化剤で減少させ全例生存することを確認した。その機序については転写制御因子のNF-κBが強く関係していることを明らかにした。2)同じモデルにおいて、転写制御因子NF-κBとHIF-1αが脳浮腫の増大に関わり、その結果アクアポリン4の発現上昇ととみに脳浮腫が増大することを明らかにした。3)ラット大腿骨頭壊死モデルにおいて、大腿骨頭壊死発症にTLR4シグナリングが大きく関わっていることを明らかにした。その機序において、TLR7およびTLR9のアゴニストを投与するモデルにおいても同様に大腿骨頭壊死が発症することから、TLR4,TLR7、TLR9の共通するシグナリングが深く関わっていることを見出した。5)アルコール投与によっても同様に大腿骨頭壊死が発症することを見出し、世界で初めて動物モデルを確立した。その機序においても自然免疫系が深く関わっており、その破綻が大腿骨頭壊死をもたらす可能性を明らかにした。7)ラットのアルコール性急死モデルにおいて、NF-kBおよびIRFが活性化していること、IFN Type1系が活性化していることを明らかにし、TLRシグナリングの撹乱が死をもたらせる可能性を明らかにした。
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日本アルコール薬物医学会雑誌
巻: 46 ページ: 140-145
巻: 46 ページ: 146-156
アルコールと医学生物学
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