研究課題/領域番号 |
20390198
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中山 晋介 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30192230)
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研究分担者 |
鈴木 治彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90283431)
武川 紅年 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 研究補佐員 (10397458)
岩下 寿秀 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00283432)
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キーワード | 高ストレス社会 / 超高齢化 / Cajal細胞 / 消化管 |
研究概要 |
超高齢化と高ストレスは日本を悩ませる重大な社会問題である。消化管はこの両者へ対処するユニークな作用点を提供する。 筋層間神経叢をネットワーク状に取り囲むCajalの間質細胞(Interstitial cells of Cajal : ICC)に存在するいくつものチャネル・受容体分子とそのシグナルが一連のサイクルとして統合される事により、消化管ペースメーカ活動は発生する。また消化管活動は、組織全体が連動して働くことにより、はじめてその機能を発揮する。本研究では、この近年見つかった消化管ペースメーカICCが機能するための、細胞内・細胞間の連携・統合メカニズムを分子基盤と共に解明する。この中には脳と腸を相関させると予想されるメカニズムも含まれる。また、本研究成果は全身に分布するICC類似細胞のモデルとなるので、高齢者のQOL(Quacity of Life)に重要な臓器・組織の治療に貢献することも期待される。 本21年度には、ICCネットワークの機能解明を行うため、8×8微小電極アレイ(Microelectrode array : MEA)の研究を中心として行った。ICCネットワークが障害されるW/W^vマウスの消化管(胃及び小腸)において取得された64チャネルのデータを統合し、電位マッピングビデオを作製した。この画像解析は、ICCネットワークの障害によってわずか1mm四方の微小なエリアでも、ペースメーカ電位の連動が不十分となることを明確に示した。この結果の一部は、パワースペクトル解析と共に論文としてすでに発表した(Nakayama et al. 2009, 次ページ参照)。現在、位相差マッピングによる新しい画像解析の論文も準備中である。 セロトニン(5-HT)の消化管ペースメーカ細胞ICCへの活性化作用は、これまで培養した細胞小塊標本を使用し観察してきた。最近、摘出直後の消化管筋層組織標本でも類似の活性化作用を安定して記録することに成功しており、以前のデータと共に論文作成中である。さらに、日本人モデルと考えられるセロトニン輸送体ノックアウトマウスを使用し研究を拡充している。
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