本研究の目的は、難治性神経代謝疾患の遺伝的基盤の解明、遺伝子改変モデル動物の作製などに従事し、国際的な業績をあげてきた研究者が、部局・講座横断的チームを結成し、この分野の飛躍的進歩を図ることにある。難治性神経代謝疾患の遺伝的基盤を解明し、その遺伝子改変マウスを作製して、一生涯という時間軸に立った治療・予防法を開発する。さらに、病態関連遺伝子を同定することにより、病態解析や創薬のターゲットとなる機能分子を解明し、ヒトの神経代謝に関わる基盤的調節機能を明らかにすることを目的とした。 今年度はカルニチン輸送体(OCTN2)欠損症を念頭に、その自然のKOマウスであるJVSマウスを用いて検討を行った。JVSマウスは著明な高FFA血症を呈し、絶食(飢え)に対する摂食反応が欠如していることを見出した。このメカニズムはFFA上昇による視床下部CRFの上昇がその主因であり、CRF系を抑制することにより摂食行動促進が見られることを明らかにした。このCRFの上昇は神経性食欲不振症の特徴でもあり、このCRFの上昇が飢えに対する摂食応答に重要であることを明らかにした。また有棘赤血球舞踏病におけるmodifier遺伝子を同定しつつあり、GABA系の関与を明らかにした。
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