研究課題
【目的】施灸による脳での初期効果に物質レベルでの客観的指標を樹立し、脳内情報処理機構を解明する。経験的に施灸が有効であると知られる慢性疾患における、施灸に対する脳の反応特性を明らかにする。本年度は,正常動物と糖尿病動物を主な研究対象として、研究と発表が進行中である。本年度に実行した主な解析方法は、以下の5つである。【実験方法】1) 質量分析装置:GCMS・LCMS・TOF MSを用いて試料の解析を試み、項目2)~4)に適用した。2) 中枢反応の解明:マイクロダイアリシスにより、背側線条体・腹側線条体・内側前頭前野におけるドーパミン分泌についてさらに検討した。神経ペプチド、特にエンケファリンの分泌については、試料の採取と分析・測定方法を再検討した。条件性場所選好試験では、施灸および艾の煙による報酬特性について様々な条件下で再検討した。3) 自律神経系・記憶の解析:体温・脳波について、自律神経系の関与の様態を有線・テレメーターで測定した。脳内電極を用いて海馬θ波を測定し、記憶への関与を探ることを試みた。4) 脳の遺伝子発現:各部位についてDNAマイクロアレイ解析を行った。【結果】多くの実験は進行中であるが、結果のまとまった成果は、論文として投稿中である。灸により、中脳黒質A10より投射を受けるすべての部位である、3部位において神経伝達物質(ドーパミン)の分泌が引き起こされる。糖尿病動物について考察を進めた。本年度は特に質量分析装置を用いて、マイクロダイアリシスにおける人工脳脊髄液の解析と分子の脳内局在性を示す2次元画像データを得る基盤を形成した。【意義と重要性】ドーパミンの分泌、施灸により報酬・感情・運動・記憶などの、脳の基本機能を制御できる可能性が示唆された。ヒト疾患への東洋医学の適用を目指し、質量分析装置の利用により東洋医学研究の進展に寄与していきたい。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Biochemical and Biophysical Research Communication
巻: 407(in press)
Psychopharmacology
巻: 213 ページ: 119-129
Journal of Neurotrauma
巻: 28(in press)
Therapeutic Apheresis and Dialysis
巻: 14 ページ: 450-456
Neuroscience Research
巻: 68 ページ: 285-259
Journal of the American Geriatrics Society
巻: 58 ページ: 984-986
Brain Research
巻: 1332 ページ: 12-19
http://read.jst./go.jp/