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2010 年度 実績報告書

マイクロRNAによる浸潤性膵癌特異的な高効率アポトーシス誘導治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20390202
研究機関東北大学

研究代表者

下瀬川 徹  東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90226275)

研究分担者 佐藤 賢一  東北大学, 病院, 講師 (10282055)
濱田 晋  東北大学, 病院, 医員 (20451560)
キーワード膵癌 / マイクロRNA / EMT
研究概要

本年度はEMTに関与するmiRNAの候補をさらに絞り込むべくIPMA6例、IPMC6例、浸潤性膵癌5例の手術検体からのmicrodissection検体およびヒト膵癌細胞株5種より抽出した検体を用いてmiRNAアレイを施行し、クラスター解析を行って有意な発現変動を認めるmiRNAを抽出した。
1)IPMAとIPMC検体の間ではmiRNA発現プロファイルの有意な変化は極めて少なく、IPMA/IPMCと浸潤性膵癌/膵癌細胞株とのmiRNA発現プロファイルが大きく異なることが判明した。浸潤性膵癌および膵癌細胞株にて有意に発現が上昇するmiRNAとしては既報にて浸潤性膵癌での発現増加が報告されているmiR-21が抽出され、本検討で用いた手法の妥当性が確認された。対照的に、浸潤性膵癌および膵癌細胞株において有意に発現低下が認められるmiRNAとしてはmiR-126が同定された。
2)膵癌細胞株であるPanc-1およびASPC-1においてmiR-126前駆体をトランスフェクションすることにより上皮系マーカーであるE-cadherinの発現増加が確認され、細胞遊走能・matrigelへの浸潤能が低下することが確認された。この結果は浸潤性膵癌において発現が低下しているmiR-126が細胞遊走能・浸潤能を制御していることを示すものと考えられた。
3)データベース解析によりmiR-126の標的遺伝子には腫瘍増殖に関与することが報告されているCRK(v-crk sarcoma virus CT10 oncogene homolog)などが確認された。これらの標的遺伝子のうち、癌細胞の浸潤能との関連が報告されているADAM9はmiR-126の強制発現により実際にその発現レベルが低下することがPanc-1およびASPC-1において確認され、miR-126がADAM9の発現制御を介して膵癌細胞の浸潤性を規定することが判明した。
以上の結果は膵癌の浸潤性増殖を抑制するmiRNAとしてmiR-126を新規に同定したものであり、今後の治療応用が期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of MSX2 mRNA in brush cytology specimens distinguished pancreatic carcinoma from chronic pancreatitis.2011

    • 著者名/発表者名
      Satoh K, Hamada S, Kanno A, Ishid a K, Ito H, Hirota M, Masamune A, Egawa S, Unno M, Shimosegawa T.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 102(1) ページ: 157-161

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Calcium-binding protein SlOOP is a novel diagnostic marker of cholangi ocarcinoma.2011

    • 著者名/発表者名
      Hamada 5, Satoh K, Hirota M, Kanno A, Ishida K, Umino J, Ito H, Kikuta K, Kume K, Masamune A, Kat avose Y, Unno M, Shimosegawa T.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 102(1) ページ: 150-156

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prediction of invasive carcinoma in branch type intraductal papillary mucinous neoplasms of the pancreas.2010

    • 著者名/発表者名
      Satoh K, Hamada S, Kanno A, Hirot a M, Umino J, Ito H, Masamune A, Egawa S, Unno M, Shimosegawa T.
    • 雑誌名

      IJ Gastroenterol.

      巻: 45(9) ページ: 952-959

    • 査読あり
  • [学会発表] ホメオボックス遺伝子MSX2はトランスポーター遺伝子ABCG2の転写を制御することによりstelm cell-like phenotypeを規定する2010

    • 著者名/発表者名
      濱田晋 佐藤賢一 下瀬川徹
    • 学会等名
      JDDW2010
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2010-10-14

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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