研究課題/領域番号 |
20390203
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
木村 公則 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (70397339)
|
研究分担者 |
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80273358)
永木 正仁 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (30293559)
齋尾 征直 琉球大学, 医学研究科, 准教授 (40242721)
倉知 慎 東京大学, 医学系研究科, 助教 (00396722)
上羽 悟史 東京大学, 医学系研究科, 助教 (00447385)
|
キーワード | B型肝炎ウイルス / CTL / ケモカイン / 肝障害 / 接着因子 / CD44 |
研究概要 |
HBV Tgマウスを用いて抗原特異的CTLsを投与する肝障害モデルの系を用いてCTLがどのような機構を用いて肝細胞内に浸潤するのか、またこれらの遊走を制御する因子は何かを解析した。今回は、特に接着因子の一つであるCD44とosteopontin(OPN)に着目しこれらを制御することで肝障害が抑制されるか検討した。CD44KOxHBVTgマウスを作製し、CTLs投与初期(4h)において明らかに、肝臓内の炎症細胞浸潤数が減少しており同時に血清ALT値も低下していた。しかし投与後24h以降では反対に肝臓内の炎症細胞数も増加しており肝障害も悪化していた。CFSEをラベルしたCTLを投与することにより,投与後4hでは標識したCTL数が肝臓内で有意に減少していることをFACS解析、免疫組織染色にて示した。肝臓内CTL数が減少している4hに着目し、類洞内皮細胞(LSEC)とCTLの混合培養によるmigration assayを行うことにより、LSECのCD44が重要であることを示した。また投与後24hにおける肝障害の増悪には、肝細胞のアポトーシス数が増加しており、この要因としてCD44が欠失したマクロファージではアポトーシスを生じた肝細胞の貪食能が低下している点と転写因子の一つであるNF-kBの低下が肝細胞のアポトーシスを生じやすくさせる状態にしている点の関与が示唆された。LSECのCD44がCTLの肝細胞への遊走に重要であることを示したので、次にCTLに発現しているCD44が肝障害に関与しているか検討した。CD44KOマウスよりDNAワクチンを用いてCD44KOマウス由来のHBV特異的CTLを誘導し、HBVTgマウスに投与した。CD44KOマウスから誘導したCTLは抗原に対してサイトカインの産生能は低下していなかったが、複製能の亢進が認められた。CD44KOCTL、CTL投与の両群において投与後4,24h共に肝障害のレベルに差を認めなかった。また肝臓組織像、炎症性サイトカインの発現にも差はなかった。これらの結果は、CTL側のCD44は肝障害に関与しないことを示した。CTL投与後のCD44のリガンドのひとつであるosteopontin(OPN)が肝臓内で発現が上昇しており、血清中にも増加していた。LSECのCD44のcounterpartを同定するために、OPNに着目した。OPNの中和抗体を前投与し、CTLを投与したところALTの低下が認められた。肝臓内の炎症細胞浸潤の減少も見られ、主にマクロファージからのTNF-aの産生能が低下していた。
|