研究概要 |
スキルス胃癌は間質増生を特徴とし,予後不良である.最近,がんの間質増生に関与する線維芽細胞(がん随伴線維芽細胞,Cancer associated-fibroblasts: CAFと呼称される)はがん細胞からのTGF-βなどの刺激により一般的な線維芽細胞とは異なった特性を示すようになることが明らかにされた。つまり,CAFはa-Smooth muscle actin (a-SMA), Vimentinなどを発現し,同時にHGFやTGF-βなどの成長因子を分泌することでがん細胞の増殖を積極的にサポートすることが示されている.そこで,胃癌患者から採取したCAFと樹立胃癌細胞株の共培養実験系を用いて,CAFを標的とした細胞標的療法の基礎検討を行った.その結果,1)ヒトスキルス胃癌組織から得たCAFにVA-lip-daunorubicinを添加した際にlip-daunorubicinよりもより高い効率でdaunorubicinが導入されること,2)そのCAFと胃癌細胞を共培養させてそこにVA-lip-daunorubicinを添加すると胃癌細胞の増殖は低下することを確認した.現在,これらの研究成果をふまえてin vivoでの検討を開始している。
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