研究課題/領域番号 |
20390212
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中島 淳 横浜市立大学, 附属病院, 教授 (30326037)
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研究分担者 |
阿部 泰伸 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10347312)
稲森 正彦 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (10381477)
高橋 宏和 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70438159)
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キーワード | 大腸がん / アディポネクチン / 化学発がん予防 |
研究概要 |
近年先進国で大腸がん患者が急増しているがその危険因子として肥満、欧米食を主とした高脂肪食、運動不足などが明らかになってきた。今回の研究ではこのような危険因子が、実際どのような分子機序で大腸発がんを促進するのかを、肥満関連ホルモンの発がんへの作用を中心に解析を行った。我々はマウス発がんモデルを用いてアディポネクチン欠損マウスとその野生型とで大腸発がんの比較を行ったところ、普通食では欠損マウス、野生型マウス両群間で差を認めなかったが、高脂肪食を投与した際にはじめてアディポネクチン欠損マウスで大腸ポリープの形成促進を有意に認めた。高脂肪条件下でアディポネクチン欠損マウスでは発がんが促進されたが、この分子機序の解明のために大腸粘膜のリン酸化たんぱく質解析を行い、アディポネクチンはAMPKを活性化し、その下流にあるたんぱく質翻訳に関与するmTOR/S6Kシグナルを抑制することを明らかにした。本研究から大腸発がんにおけるアディポネクチンの役割と、分子機序解明され、肥満関連の大腸がんの新たな分子標的としてAMPKを同定できた。 平成22年度はモデルマウスでAMPK活性化薬メトフォルミン投与における大腸がん予防の基礎的研究に加え、実際にヒトにおいてメトフォルミン経口投与にて内視鏡的に観察可能なヒト大腸前がん病変ACFの数の有意な減少を認め報告を行った。この結果は平成22年アメリカ癌学会で発表を行った。
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