研究概要 |
AktはPI3キナーゼによって活性化される蛋白リン酸化酵素であり,細胞増殖や糖代謝など多彩な生物学的作用を有することが知られている。本研究はAktシグナルによる心筋代謝調節機構および代謝調節を介した心機能制御機構の解明を目的としておこなわれた。その結果,Aktの活性化によって脂肪酸代謝酵素の転写制御因子の発現が低下し,相対的に糖代謝を介したATP産生量が増加すること,また,Aktの活性が心臓で特異的に低下するようなモデルマウスにおいては左室収縮能の低下が認められること,がそれぞれ明らかになった。以上より,AktシグナルがATP産生を介して心機能を維持しているものと考えられた。
|