研究課題
基盤研究(B)
過剰なカロリー摂取と運動不足による肥満の急増とともに、肥満を基盤として高血圧、耐糖能異常や脂質代謝異常を併発するメタボリックシンドロームが心血管疾患の最重要なリスクファクターとして注目されている。ところが、メタボリックシンドロームが易動脈硬化状態となるメカニズムはまだよく分かっていない。本研究計画では肥満を背景とする心血管疾患と代謝疾患の分子機構について、特に血管への遊離脂肪酸を中心とする代謝的なストレスへの応答機構に着目し、その情報を伝達する小胞体(ER)ストレス応答機構、ストレス応答の遺伝子発現を制御する転写ネットワークの翻訳後修飾を解析し、メタボリックシンドローム下での動脈硬化発症分子機構を明らかにする。また血管系の知見に基づいて代謝組織の病態形成ストレス応答機構の解析を行い、肥満を背景として進展する心血管代謝疾患に共通な分子基盤を明確にすることを目的とする。さらに、これらシグナル分子機構を標的とする新規診断治療戦略へのトランスレーションを進めることを目的として研究を行った。その結果、遊離脂肪酸が、血管及び膵ラ氏島で小胞体ストレスを惹起し、両者の機能障害を引き起こすことを見いだした。そのシグナリング機構の解析を進め、遊離脂肪酸によるTLR4シグナル活性化の詳細を明らかとした。遊離脂肪酸はTLR4/MD2複合体に直接作用し、NF-・Bパスウェイを活性化すると考えられる。また、心臓及び腎臓に対する遊離脂肪酸の作用を解析し、両者においても炎症プロセスへ寄与することを見いだした。
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