研究課題/領域番号 |
20390226
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
矢野 雅文 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90294628)
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研究分担者 |
池田 安宏 山口大学, 医学部, 講師 (00260349)
小林 茂樹 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90397993)
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キーワード | 筋小胞体 / カルシウム / リアノジン受容体 / 心不全 / 致死的不整脈 / 点突然変異 |
研究概要 |
申請者は、RyR2の点突然変異を内在するノックイン(KI)マウス(R2474S/+)において、in vivoにおける心機能、不整脈を解析し、さらに同KIマウスの心筋より摘出した単離心筋細胞、SRを用いて、RyR2内N-terminal(1-600)-Central(2000-2500)ドメイン連関を定量的に評価した。この結果、RyR2からCa2+が漏出(RyR2の不安定化)する機序に関して以下に記すような重要な知見を得た。 1)KIマウスは安静時の心機能は正常であり、病理・形態的にも異常はなかった。しかし、epinephrine負荷またはトレッドミル運動負荷により容易に多源性心室頻拍(VT)を生じた。 2)KIマウスの心筋細胞ではWTに比べ、単離心筋細胞内Ca2+spark頻度は著明に増加していた。 また、Quencher(QSY-BSA)を用いた蛍光消退実験により、KIマウスのSRでpartialなN-Cドメイン連関障害が生じ、cAMP(1microM)の添加によりさらにfull unzip状態となる事が分かった。一方、WTマウスのSRではcAMPの添加でunzip状態にはならなかったが、DPc10(2460-2495;点突然変異部位R2474Sを含むshort peptide)の添加により(native domainと競合してN-terminal domainに結合することにより)N-Cドメイン連関はfull unzip状態となった。以上のことはRyR2の点突然変異が、RyR2のPKAリン酸化に際してドメイン連関障害を介してCa2+漏出を生じる可能性を強く示唆する。 以上より、CPVTの新しい発症メカニズムとして、点突然変異→PKAリン酸化時のRyR2内ドメイン連関障害→Ca2+漏出→DaD→CPVTが示唆された。
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