研究課題
(1) sFLT-1に関する研究VEGFファミリーであるPLGFはFlt-1受容体を介して動脈硬化に促進的に働くことが知られている。Flt-1にはPlGFの内因性拮抗物質として働く、可溶型Flt-1(sFlt-1)が存在している。我々は心臓カテーテル症例を用いて、腎機能の低下に平行して血中PlGF濃度は変化しないがsFlt-1濃度は低下することを発見した。また、人腎生検組織中のsFlt-1mRNAが腎機能の低下に平行して低下していた。また、血中のPlGF/sFlt-1比を調べると、冠動脈硬化の重症度と並行していることを発見した。ApoEノックアウトマウスに腎不全モデルを作製すると、腎臓でのsFlt-1の産生の低下と、動脈硬化の増悪するが、リコンビナントsFlt-1を投与することにより、動脈硬化の悪化を抑制することに成功した。以上、腎機能低下時に増悪する動脈硬化の分子機序にPlGF/Flt系の働きが関与していることを世界で最初に報告した。(2) Klothoの糖尿病性腎症における役割糖尿病性腎症は腎症早期に尿中へのCa排泄が増加するが、その分子機序は不明である。我々は、ヒト糖尿病性腎症でKlotho(KL)の発現が約半分に減少すること、またSTZ糖尿病マウスを作製すると作成後4週以降でKL発現が遠位尿細管で約50%低下することを確認した。また、KLのヘテロノックアウトマウスにSTZで糖尿病を作製すると、作成後2週で(この時期ではさらなるKL発現低下は認められない)Ca排泄が増加した。以上の結果より糖尿病性腎症の早期の尿中Ca排泄の増加にKLが関与していることを初めて提唱した。
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