(1)肺がん幹細胞:H21年度に実施したCD133陽性細胞を幹細胞のマーカーとして解析する方法は技術的問題が多く、再現性が得られないため別の方法とすることとした。つまり、肺幹細胞のマーカーである、SP-CおよびCCSPを用いた解析を進めた結果、それぞれ少数ながら存在するとか明らかとなり、今後その性状の解析を今後行う予定である。 (2)肺癌幹細胞の起源であるとされる肺前駆細胞の解析:肺前駆細胞の解析を、マウスを使用して行ってきた。前年度に確立したCD45-CCSP+SP-C+肺前駆細胞のフローサイトメーターを用いて定量化する方法で、成長過程および肺修復過程での動態解析を行った。その結果、生後4週でこの前駆細胞はもっとも増幅し、マウス肺における成長過程に前駆細胞として働いていることが明らかとなった。また、ナフタレンによる気道上皮損傷・修復過程においても前駆細胞は増幅し、修復に重要な働きをしていることが判明した。一方、ブレオマイシン肺胞上皮細胞修復もでるにおいてはこの前駆細胞は修復に重要な役割を担っていないことが判明した。
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