研究課題
1.ヒト末梢血単核球(PBMCs)にEpstein-Barrウイルス(EBV)を感染させた系において抗GM-CSF抗体が培養上清中に産生されること見出した。産生される抗体のアイソタイプはIgM型が主であるが、自己免疫性肺胞蛋白症患者由来のPBMCsを感染培養させるとIgG型抗体の産生を認めるものがあり、健常者と比べた場合、その産生量は有意に増加することが判明した。2.1におけるIgM型抗体は抗原の感作を受けていないナイーブB細胞がEBVに感染することで刺激を受けて産生されるものが殆どであるが、一部抗原の感作を受けて、その抗原を記憶しているメモリーB細胞から産生されるものも認められた。このIgM型メモリーB細胞は患者のみならず広く一般健常者の末梢血中にも認められた。ELISPOT法にても産生クローンの存在を確認した。3.IgM型抗体は患者末梢血中にも極僅少ながら存在することが認められた。97人の患者の血液サンプルの解析では、その量は年齢と共に減少することが認められた。4.IgA型抗体の存在もEBV感染培養細胞の培養液上清、ならびに患者血液中より確認された。5.IgM型抗体の抗原(GM-CSF)との結合力はIgG型抗体のそれに比べて約1000分の1と極めて弱いことを認めた。この結合力は患者年齢と相関は認めなかった。6.患者血液中に認めるこれらの抗GM-CSF抗体の軽鎖はλ鎖に強く偏っていることが認められた。しかしながらEBV感染をさせたPBMCsの培養上清より得られる抗体はκ鎖に偏っており、相違が認められた。7.患者血液中に認められるIgG型抗体は自己免疫性肺胞蛋白症の発症において極めて重要な役割を担っている。元々存在していたIgM型抗体がなぜIgG型抗体へと変化し、その産生に抑制がかからないのか、今後明らかにしてゆく予定である。
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