研究課題
平成20年度から23年度にかけ、炎症応答における小胞体ストレスの役割、そのLight SideとDark Sideに係る新規シグナル伝達系を解明してきた。本年度は、そうした細胞障害性小胞体ストレス応答系を修飾し組織障害を緩和しうる2群の物質、即ちアデノシン誘導体である3'-deoxyadenosine(3DA)、およびケミカル・シャペロンである4-phenylbutyric acid (4-PBA)の類縁体に関する検討を行い、以下の知見を得た。1. 小胞体ストレス応答系を修飾し細胞障害を緩和する物質3DA:治療効果の検討: 3DAは小胞体ストレス誘導剤による細胞障害を抑制し、小胞体ストレス応答主要3経路のうちATF6経路及びIRE1経路を選択的に阻害した。そこで in vitroで認められた細胞保護効果が in vivoでも認められるか否かを検討するため、小胞体ストレス誘導剤 (tunicamycin) による腎尿細管障害モデル(マウス)を用いた検討を行った。その結果、3DAの腹腔投与は腎尿細管における小胞体ストレスのレベルを緩和し、尿細管障害(アポトーシス)を抑止することが判明した。2. 小胞体ストレスを緩和する4-PBA類縁体の合成とその作用機序の解明: 強力な小胞体ストレス緩和作用を有するケミカル・シャペロンを開発するため、4-PBAをベースにした新規化合物を6種合成し、小胞体ストレス応答を抑制する3種の物質の開発に成功した。これら3種の4-PBA類縁ストレス緩和物質は、小胞体ストレス応答主要3経路のうち細胞障害に関わるIRE1-JNK経路およびATF6経路を高度に抑制し、逆にPERK-eIF2α経路は活性化した。これらの新規合成物質は3DAと同様に小胞体ストレス関連疾患の治療薬となる可能性があり、現在 in vivoでその有効性を証明すべく検討を進めている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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