研究概要 |
これまでリン代謝調節は、副甲状腺ホルモン(PTH)、ビタミンD、カルシトニンなどの古典的な骨代謝を中心としたカルシウム調節ホルモンの付随的な作用として行われると考えられていた。しかしながら、我々は、脳室、消化管、骨および腎近位尿細管を中心とした、リン調節系を担う新たなリンセンサー蛋白(Growth-related Na/Pi cotransporter, type IIc)とその下流の存在する新規リン代謝ホルモン(FGF23, Staniocalcin, PHEX, Klotho etc)の生理作用、さらに細胞外に反応するリン応答転写因子を発見した。本研究期間にリン代謝調節機構の中核をなすリンセンサーによるリン感受機構の全貌を解明すること、さらにリンセンサーからのシグナルを伝える新規リン代謝ホルモン群(PHEX, FGF23とKlothoの相互作用)の機能を明らかにすることで、新しいリン代謝系を司るネットワーク分子によるシグナル伝達系の解明を目指した。平成21年度はNaPi-IIa/NaPi-IIcのW-KOダブルノックアウトマウスの解析から、腎臓において発現する新しい細胞膜蛋白を同定した。この蛋白質はCLCAファミリーの属し、細胞膜部分で切断を受けて、液性因子として機能している可能性が示唆された。また、本蛋白質はリン代謝に関与する組織で特異的に機能している証拠が得られた。
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