研究課題
本研究は、小児期腎不全の主要な原因である先天性腎尿路奇形(Congenital anomalies of kidney and urinary tract:CAKUT)を対象に、遺伝子欠失、重複などが頻繁に起こるcopy number variation(CNV)領域を、世界最高水準の解析技術を用いて網羅的・系統的に解析することにより、CAKUTの新規原因遺伝子の同定を行うとともに、新規遺伝子を含めたCAKUT遺伝子診断システムを確立することを目的とする。本年度はCAKUTの50症例を対象としgenome-wide CNV chipによる解析を開始したが、その過程で、既知のCAKUT遺伝子であるTCF2の遺伝子変異に関して新知見を得たので報告する。CAKUT50症例中5例(10%)にTCF2遺伝子変異を認めたが、そのうち3例はTCF2全欠失であった。この3例のCNV解析を行ったところ、3例ともTCF2を含む1.4Mbのheterozygous microdeletion(de novo)であることが明らかとなった。また、このmicrodeletionの両側にはsegmental duplicationがあることから、recurrent nonallelic homologous recombinationがmicrodeletionの原因であると考えられた。このmicrodeletionの3例は、いずれも片側多嚢胞性異形成腎(MCDK)であり、2例は対側腎も低異形成で腎機能障害を認めたが、他の1例は対側腎は代償性肥大を呈し腎機能も正常であった。MCDKは高頻度(1/4,300出生)に認められるCAKUTであり、MCDKの発症機序として、CNV領域におけるMicrodeletionが重要であることが明らかとなった。
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