研究課題/領域番号 |
20390241
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 一男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70280873)
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研究分担者 |
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
三須 建郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396491)
中島 一郎 東北大学, 病院, 助教 (50333810)
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キーワード | 脳神経疾患 / 視神経脊髄炎 / デビック病 |
研究概要 |
視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica[NMO]、デビック病)は重症の視神経炎と横断性脊髄炎のみを繰り返す重篤な免疫性神経難病である。私共の最近の研究によるNMOの疾患特異的自己抗体(抗アクアポリン4[AQP4]抗体)の発見に伴い、NMOはMSと異なる疾患概念であることが明らかになりつつある。そこで本研究では、NMOにおけるAQP4に関連した特異な分子及び細胞レベルの免疫病態とAQP4を高密度に発現しているアストロサイトを中心に神経組織障害のメカニズムを解明し、MSとは異なるNMOの治療法開発に役立てることが研究目的である。 1. NMO症例における抗体価の経時的解析では再発時期に高く、免疫抑制療法により寛解状態が継続している時期には低下する傾向が確認された。AQP4抗体は主としてIgG1サブクラスであった。2.ミエリン反応性T細胞の注入により発症させる実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)においてAQP4抗体を同時に血中に投与すると、NMO様の病変が脊髄中心灰白質中心にみられた。一方、AQP4抗体のみあるいはAQP4抗体陰性のIgGをミエリン反応性T細胞とともに投与してもNMO様様の病変はみられなかった。培養アストロサイトにAQP4抗体と補体を添加すると細胞障害が観察されるので、NMO病変の形成にはAQP4抗体とともにおそらくは血液脳関門を開くようなT細胞反応が必要と思われた。3.NMOの再発時の髄液中におけるアストロサイトの特異的タンパクであるGFAPの濃度を測定すると、平均で数千ng/mlとMSの再発時の値(lng/ml未満)に比べて極めて高値であった。またNMOにおいてはステロイドパルス治療後は髄液GFAP濃度は正常近くまで低下した。すなわちNMOの再発時には急激に高度のアストロサイト障害が起きており、MSとまったく異なる病態であることが明らかになった。
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