研究課題
近年、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、異常蛋白質のβシート構造変移体・オリゴマーが神経変性を引き起こすという共通の発症分子メカニズムが考えられるようになった。本研究では、異常伸長PolyQ蛋白質の毒性βシート構造体・オリゴマーを治療標的として、1)異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBP1を応用する方法、2)PolyQ凝集阻害化合物をハイスループットスクリーニングにより同定する方法、3)内在性分子シャペロンの発現誘導剤を用いる方法により、PolyQ病のみならず神経変性疾患共通の治療薬の開発を目指す。今年度は、1)QBP1配列(SNWKWWPGIFD)の欠失変異体について、PolyQ凝集阻害活性の評価を行った。その結果、N末端のSN、およびC末端のDの欠失ではPolyQ凝集阻害活性に明らかな影響を与えず、アラニン・スキャン体の結果と合致して、WKWWPGIFの8アミノ酸が最小活性配列であることが確認された。2)前年度に引き続き1次ヒットPolyQ凝集阻害化合物の培養細胞でのオリゴマー形成阻害効果、PolyQ病モデルショウジョウバエでの神経変性抑制効果を評価し、2/3次スクリーニングを進めた。ショウジョウバエモデルの有効性を認めたQAI1については、PolyQ病モデルマウスに対する治療効果の検討を開始した。3)分子シャペロン遺伝子の転写を制御するHSFの発現するトランスジェニックショウジョウバエを作成し、PolyQ病モデルショウジョウバエに対する影響を検討した結果、分子シャペロン誘導剤17-AAGとは異なり、複眼変性を増悪させることが明らかになった。以上の結果から、薬剤による活性化と遺伝子発現では、HSFが発現誘導する標的遺伝子群が異なる可能性が考えられた。
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