研究課題
我が国で死因一位の心血管疾患の主要な原因であるメタポリックシンドローム・糖尿病激増の主因が肥満に伴うアディポネクテンの低下であることを明らかにし(Nat.Med.7:941,2001;Nat.Genet30:221,2002;Nat.Med.8:1288,2002)、その受容体AdipoRl・AdipoR2をクローニングし(Nature423:762,2003)、全身での遺伝子欠損マウス等を作製、AdipoRl・R2が、個体レベルにおいて、アディボネクチンの結合と作用に必須であることを示してきた(Nat.Med.13:332,2007)。本研究では、全身及び組織特異的な遺伝子ノックアウト及び過剰発現の手法を用いて、AdipoRl・R2の各組織及び全身における生理的・病態生理的意義を全面的に解明するのみならず、各組織におけるアディボネクチン/AdipoRl・R2の細胞内シグナル伝達機構を明らかにすることを目的とした。(1)糖・脂質代謝、特にミトコンドリア機能におけるアディボネクチン受容体の各組織毎での役割の解明:`骨格筋特異的AdipoRl・R2欠損マウスを作製し、筋肉のAdipoRlがミトコンドリアの数・機能や運動持久力を制御していることを明らかにした(未発表データ) 。(2)動脈硬化におけるアディボネクチン受容体の生理的・病態生理的意義の解明:血管内皮特異的蝣AdipoRl・R2欠損マウスを作製し、血管のAdipoR-2が抗動脈硬化作用を有することを示した(未発表データ)。(3)肥満症で認められる脂肪組織におけるhypoxia様変化や小胞体ストレスにおけるアディボネクチン受容体の役割・意義の解明:全身AdipoRl・R2欠損マウスの脂肪組織において、脂肪細胞の数や面積について解析を進め、hypoxia様変化や小胞体ストレスのマーカーを検討中である。(4)代謝に重要な各組織におけるアディボネクチン受容体を介した細胞内情報伝達の解明:骨格筋におけるアディポネクチン/AdipoRl・AdipoR2経路によってPGC-lalphaが活性化されることを明らかにした(未発表データ)。
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