インスリンの作用には、IRS-1/2を介したPI3-kinase/Akt活性化が極めて重要な役割を果たしている。我々は、IRS-1およびGLUT1に結合するタンパクを、免疫沈降からの複合体解析をLC/MS/MSのシステムを用いて網羅的に検索し、proryl isomerarse I(Pin1)と4F2hcをそれぞれ同定した。Pin1は、プロリンをtrans構造に変化させることでタンパクの構造変化をもたらし、機能を修飾する蛋白である。 次に、Pin1に結合するタンパクを検索したところ、TORC2が同定された。Pin1は高脂肪食負荷に伴って発現量が増加する。また、絶食で低下し、食事の再摂取によって発現が増加する。Pin1は、IRS-1に結合しインスリンによるシグナル伝達を顕著に亢進させ、またTORC2に結合し糖新生を抑制することが判明した。Pin1のKOマウスでは、インスリン抵抗性と耐糖能異常が認められた。また、Pin1をob/obマウスの肝臓に過剰発現させると、耐糖能は顕著に改善した。また、4F2hcはGLUT1に結合し、タンパクの安定性を上昇させ、糖取り込みの上昇を導くことも明らかになった。さらに、AS160とINTS6や、PTENとTfgなど、新規のインスリン作用に関わる複合体形成が、発見され、これらについての解析を進めている。
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