研究課題
本研究は、成人GH分泌不全症(AGHD)において合併した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)がGH補充療法によって劇的に改善した(Takahashi, Chihara et al.Gastroenterology 2007)症例をヒントにして開始したプロジェクトであり、その目的は成人GH分泌不全症をモデルにして一般のNASH発症の病態の解明、AGHDの病態の解明、GHの成人における特に肝臓における生理作用の解明を行うことである。これまで、1)AGHD症例における臨床研究、2)臨床肝生検検体を用いた病因の解析、3)私たちが明らかにしたAGHDモデルであるSDR(Spontaneous dwarf rat)を用いた分子生物学的研究、4)さらに重篤なNASH動物モデルであるコリンメチオニン欠乏食投与下のdb/dbマウス(CMD db/db)を用いたGH治療による効果の解析、4)培養肝細胞、肝臓星細胞、Kupffer細胞に対するGH,IGF-Iの作用とその機序の解析を行ってきた。そして、AGHD症例にNAFLD/NASHが非常に高頻度に合併すること、その肝病変がGH治療によって劇的に改善すること、SDRがよいAGHDかつNASHモデルであること、CMD db/dbに対してGH/IGF-Iが一定の効果を示すことを確認した。具体的には、GH/IGF-I欠乏状態においては内臓肥満、肝臓における脂肪沈着、炎症、線維化に加えて、星細胞の活性化が起こっていることを明らかにした。そしてSDRあるいはNASHモデルマウスにGH/IGF-Iを投与するとこれらのNASHに伴った変化が特にIGF-Iによって劇的に改善することを見いだした。現在さらに詳細な機序の解析を行っている。
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