研究課題
本研究の目的は、われわれが同定した新規性分化・生殖機能異常責任遺伝子MAMLD1の生体内機能を解明することである。平成22年度には下記の成果が得られた。1.新規変異陽性患者の同定:欧米人性分化疾患患者において新規MAMLD1機能低下変異を同定し、MAMLD1異常が人種を越えた性分化疾患の原因遺伝子であることを明確にした。また、MAMLD1変異陽性患者の中核症状は尿道下裂と停留精巣であり、明らかな遺伝子型-表現型相関は認められないことを明らかとした。2.変異陽性患者の臨床像の解明:無機能型変異陽性患者を対象とした出生時から思春期までの経時的臨床解析によって、MAMLD1機能低下が、出生時の外性器異常のみならす、思春期の男性ホルモン産生障害を招く可能性を見出した。さらに、変異陽性患者において高頻度に精巣内微細石灰化が認められることを明らかとし、MAMLD1が精子形成障害および不妊症の発症にも関与する可能性を見出した。3.MAMLD1細胞内機能の解明:ステロイド産生機能を有するマウスLeydig腫瘍細胞(MLTC1)を用いて、siRNAによるMamld1一過性発現抑制を行い、MAMLD1/Mamld1がステロイド産生に及ぼす効果を検討した。マイクロアレイ解析、ウエスタンブロッティングおよび定量PCRを用いた発現解析の結果、Mamld1がCyp17a1のmRNA発現制御を介してテストステロン産生を修飾することが明らかとなった。なお、われわれは過去にMAMLD1がSF1による制御を受ける可能性を見出している。これらの成績は、精巣でのテストステロン産生調節におけるSF1-MAMLD1-CYP17A1系の関与を示唆する。
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PLoS ONE
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http://www.nch.go.jp/endocrinology/index.htm