研究課題
本研究遂行には、ATL患者の遺伝子発現プロファイルより複数のATL細胞指標遺伝子を選出し、これらの遺伝子発現量より、HTLV-1キャリアにおけるATL発症危険指数(ATLスコア)を算出する手法を確立することが重要である。昨年度は新たにATL患者52名、健常人21名の全ゲノム遺伝子発現マイクロアレイ解析を行い、ATLスコア算出のためATL細胞指標遺伝子パネル(12遺伝子)を選出した。次にQuantiGenePlex(Veritas社)を用いて、前述の12個の遺伝子をハイスループットに測定できる系を確立した。これまでの問題点として、1)正常細胞での発現量が極端に低い遺伝子では、QuantiGenePlexでの測定結果が不安定になる。2)全てのATL細胞指標遺伝子が従来の発症危険度(pro-viral load)と強く相関しているわけではない。ということが明白になった。そこで今年度はHTLV-1キャリア(40名)の遺伝子発現プロファイルに注目し、キャリア群内の遺伝子発現プロファイルを、pro-viral loadや後にATLを発症したか否かによって詳細に比較した。厳しい有意差検定の結果(p<0.0001)、診断やpro-viral loadの上昇に伴って上昇し、後にATLを発症したことが分かっている"高危険キャリア(n=5)"において、無症候キャリアよりも高い発現量を示す遺伝子が18個見つかった。今後はこれまでの12個のATL細胞指標遺伝子のうちいくつかを、内今回見つかったより信頼度の高いリスク・インディケーター遺伝子と差し替えることにより、より正確なATLスコアの算出方法を確立する。また最適化されたATL細胞指標遺伝子パネルをQuantiGenePlexでハイスループットに測定できる系を確立し、初期継代ATL細胞を用いて、ATL抗がん剤のスクリーニングに活用するための準備を行なう。
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