造血幹細胞は、胎児期において幹細胞は組織形成のために細胞周期を回転させている状況であるが、成体においては細胞周期が遅延化し、多くの幹細胞は休眠状態にあるとされてきたが、その細胞周期の相違についての分子機序についてはまだ明確にはされていない。我々は、従来の研究により、幹細胞の細胞周期を司ることを示してきた受容体Tie2の下流シグナルの解析から、DNA複製因子SF1/SLD5が造血幹細胞の細胞周期における正の制御因子であり、Galectin-3が負の制御因子であることを示唆する所見を得てきた。そこで本研究では、Galectin-3 の発現およびTie2 の活性化状態とともに、胎児および成体の造血幹細胞の生態学適所における幹細胞の細胞分裂活性を解明する。また、PSF1遺伝子のプロモーター領域のエピジェネティックな制御機構を解明することにより、PSF1の発現を誘導する上流因子の解明へとつなげ、造血幹細胞の自己複製に関わる幹細胞因子の同定をはかることを目的とする。
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