研究課題/領域番号 |
20390271
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
稲葉 俊哉 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60281292)
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研究分担者 |
本田 浩章 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40245064)
松井 啓隆 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (60379849)
安藝 大輔 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50420500)
宮崎 和子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (00311811)
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キーワード | MDS / 骨髄性白血病 / 7番染色体欠損 / 発がん抑制遺伝子 / 遺伝子欠損マウス / 分裂期異常 |
研究概要 |
われわれはかねてより、7番染色体長腕(7q)よりMDSを抑制する遺伝子の単離と、遺伝子産物の機能解析を進めてきた。今年度は、候補として単離した遺伝子のうち、共通の祖先遺伝子より進化したSamd9=Kasumi,Samd9L=Titanについて検討した。KasumiとTitanは、互いに60%のアミノ酸相同性を持ち、機能不詳の関連タンパク質をコードする。例がないことに、ラットを含むほとんどの哺乳類でKasumiとTitanの双方が存在するが、マウスではTitan遺伝子のみが存在し、Kasumiは存在しない。Titan遺伝子欠損マウスを作成したところ、正常に出生・発育したが600日を超える高齢マウスはヘテロ欠失、ホモ欠失ともに、約半数がAMLやMDSを発症した。また、その新生仔期にレトロウイルスを感染させたところ、ほぼ全例が骨髄球系の白血病を発症した。発症した骨髄性白血病は典型的なde novoのAMLからMDSやCML様などさまざまな病型を有しており-7/7q-を伴う一骨髄性白血病と類似していた。レトロウイルスの挿入部位を同定したところ、Evi-1転写調節遺伝子とともに、ヒストン脱メチル化酵素をコードするFbxl10遺伝子が同定された。Evi-1もFBx110もその過剰発現によってサイクリン依存性キナーゼ抑制たんぱく質(CDKi)であるp15が抑制されることが知られている一方、ヒトのAMLやMDSでもp15遺伝子プロモータ領域のメチル化が高頻度に見られる。これらの結果から、転写レベルやエピゲノム制御を通じたp15の抑制が-7やtitanの欠失と協調して顆粒球系前駆細胞の悪性化に関与すると考えられた。
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