本研究課題はヒト正常造血における造血幹細胞維持メカニズムを解明すると同時に白血病時の病的造血動態を明らかにすることを目的として、研究期間内に(1)ニッチ因子であるヒトSDF-1、 N-cadherin、 Angiopoietin-1遺伝子を導入した免疫不全マウスを作成し、(2)正常ヒト造血幹細胞および白血病幹細胞を移植して解析しそれぞれの維持に重要な因子を同定することにより、造血幹細胞移植後の幹細胞保護療法の開発や新規白血病幹細胞標的治療薬の開発を行う基盤とする。 2008年度はヒトSDF-1、 N-cadherin、 Angiopoietin-1遺伝子を導入した免疫不全マウスを作成した。具体的には、骨芽細胞特異的に発現するα-collagenプロモーターの下流にヒトSDF-1、 N-cadherin、 Angiopoietin-1遺伝子を導入した発現ベクターを作成した。NOGマウス受精卵に遺伝子導入して個体を得ることは効率が悪いので、免疫不全ではないNODマウス受精卵にマイクロインジェクション法により遺伝子導入してファウンダーマウスを得た後に、NOGマウスとかけ合わせることにより目的の個体をた。更にマウス骨髄をヒトSDF-1、 N-cadherin、 Angiopoietin-1抗体を用いて染色して導入遺伝子の蛋白質レベルの発現を検討している。
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