研究課題/領域番号 |
20390278
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
宮田 敏行 国立循環器病センター(研究所), 病因部, 部長 (90183970)
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研究分担者 |
小亀 浩市 国立循環器病センター(研究所), 脈管生理部, 室長 (40270730)
坂野 史明 国立循環器病センター(研究所), 脈管生理部, 室員 (00373514)
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キーワード | フォンビルランド因子 / ADAMTS13 / 血小板血栓 / 血栓性血小板減少性紫斑病 / プロテインS / 静脈血栓症 / 遺伝子多型 / 血栓症 |
研究概要 |
血栓症は凝固制御因子や血小板凝集抑制因子の機能低下がリスクとなる。私達は日本人55人に1人が保有する凝固制御因子プロテインSのK196E変異が、静脈血栓症の遺伝的リスクであることを報告した。一方、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)はADAMTS13活性の著減による超巨大フォンビルランド因子(VWF)マルチマーの蓄積が原因となる。本研究は、私達がこれまで行ってきたこれら2つの抗血栓因子の解析を進め日本人の血栓症発症のメカニズムを解明し、それらを血栓症の予防・予知に資する。 プロテインSに関する研究:プロテインS K196E変異は日本人の静脈血栓症のリスク(オッズ比、4.8)であることを報告した。今回、周産期での静脈血栓症患者18名を収集し、遺伝的背景を調べたところ、4名にプロテインS遺伝子の変異、1名にプロテインC遺伝子の変異を同定し、4名のプロテインS遺伝子変異のうち2名はK196E変異であった。このことから、周産期での静脈血栓症の発症にプロテインS K196E変異がかかわっていることが明らかとなった。 ADAMTS13に関する研究:私達はADAMTS13遺伝子欠損マウスを作製し、血小板血栓がおこり易い状態であることを明らかにした。今年度は、C末端389アミノ酸を欠くマウスを作製し、その抗血栓能を調べた。その結果、このマウスは遺伝子欠損マウスよりずり応力下の血小板血栓能は抑制されていたが、野生型マウスより血栓能は亢進していることが明らかとなった。また、私達は以前ヒトADAMTS13遺伝子に日本人の10人に1人がヘテロ接合体であるP475S変異を同定していた。今回、本変異体を発現させ酵素活性を測定したところ、1.5M尿素存在下のVWF切断活性は約10%まで低下するものの、尿素を使わない蛍光性合成基質での活性は約70%にしか低下しないことが明らかとなった。
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