研究概要 |
私達はプロテインSK196E変異が静脈血栓症のリスクであることを報告した(Kimura et al,Blood,107,1737-8,2006)。プロテインSは、プロテインC依存性とTFPI依存性の2つの抗凝固作用を示す。このうち、TFPI依存性の活性を調べるため、Nidgenl遺伝子のシグナル配列とTEVプロテアーゼで切断可能なHisタグ配列をもつ野生型およびプロテインSK196E変異型発現プラスミドを作成し、CHO-Lec細胞を用いてプロテインSを発現させる系を構築した。 ADAMTS13はVWFのTyr1605-Met1606結合を特異的に分解することにより、血管内皮細胞で生合成されたばかりの超巨大VWFマルチマーを、正常な止血反応を行う適当な大きさのマルチマーへと切断する。ADAMTS13がVWFを切断する際、局所に濃縮されて反応が進行すると考えられるが、そのメカニズムは全く明らかではない。私達は、ADAMTS13とLysプラスミノーゲンが特異的に結合することを見いだした。この結合が細胞上のプラスミノーゲン受容体を介して両者の局在にかかわる可能性がある。そこで、この結合に必要な領域を明らかにするため、プラスミノーゲンをエラスターゼ処理し、C末端約350残基のミニプラスミノーゲンを調製し結合を確認した。また、分子間相互作用解析装置BIACOREを用いて結合を詳細に検討し、結合定数を求めた。
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