研究課題
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の疾患関連遺伝子として同定した蛋白のシトルリン化酵素PADI4(peptidylarginine deiminase type 4)と、 RAに最も特異度の高い自己抗体である抗シトルリン化蛋白抗体を結びつけるメカニズムは、RAの病因・病態や今後の治療を考える上で重要である。そこで、本研究は既に樹立したPADI4ノックアウトマウスを中心として、関節炎と蛋白のシトルリン化、そしてシトルリン化蛋白に対する自己抗体の関係を詳細に検討し、RAの病態を解明することを目的とした。PADI4ノックアウトマウスを関節炎が惹起可能なC57BL/6にバッククロスした。現在ノックアウトマウスにおいて種々の条件下での関節炎惹起の程度を検討している。これらを用いて、ノックアウトマウスとワイルドタイプマウスの関節炎の頻度、関節炎スコア、病理組織を比較する。同時に、免疫的パラメーターとして、抗II型コラーゲン抗体、抗シトルリン化蛋白抗体、免疫グロブリン濃度なども測定し比較する予定である。蛋白のシトルリン化は細胞外で生じる可能性が示唆されている。マウスのPADI4に対するモノクローナル抗体のうち中和抗体活性をもつものは、細胞外での同酵素の作用を阻害することから、関節炎の治療にPADI4阻害薬が効果あるか否かを検証できる。今回樹立したPADI4ノックアウトマウスは、PADI4に対するトレンランスが欠如していることから、PADI4に対する特異性の高い免疫応答が期待できる。そこで、現在PADI4ノックアウトマウスにリコンビナントマウスPADI4蛋白を免疫し、そのマウスから中和坑体活性のあるモノクローナル抗体を樹立しつつある。
すべて 2008
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Nat Genet. 40
ページ: 1224-9