研究課題/領域番号 |
20390282
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (50009700)
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研究分担者 |
中野 裕康 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70276476)
秋葉 久弥 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60338316)
牛尾 博子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30317391)
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キーワード | マスト細胞 / オートファジー / インターフェロン / Liht chain(LC)3 / ノックアウトマウス / 脱顆粒 / IgE / CD63 |
研究概要 |
マスト細胞でオートファジーが恒常的に誘導されているかを検討するために、野生型マウス骨髄より誘導したマスト細胞を用いて検討したところ、オートファジー誘導マーカーの一つであるlight chain(LC)3のII型が強く発現していること、および共焦点顕微鏡を用いた免疫染色でもLC3がdotを形成していることを見いだした。atg7-/-マウスは生後1目以内に飢餓応答がうまくいかずに死亡してしまう。そこでatg7^<flox/flox>マウスとI型インターフェロンによりCreリコンビネースの発現を誘導できるMX1-Creマウスを交配し、atg7^<flox/flox>:Mx1-Creマウスを作成した。このマウスの腹腔にpolyICを注射することにより、骨髄細胞からatg7を欠損させ、骨髄細胞よりマスト細胞を誘導して解析したところ、マスト細胞の分化誘導には障害が認められなかった。しかし、免疫電顕を用いた解析からLC3がマスト細胞の穎粒内に認められたことから、IgE受容体の架橋による脱顆粒をbeta-hexoaminidaseやヒスタミンの細胞外放出を指標に検討したところ、野生型マウスに比較してatg7-/-マスト細胞で脱顆粒が有意に低下していることが明らかとなった。さらにマスト細胞の脱顆粒に伴いsecretory lysosomeマーカーであるCD63やオートファゴソーム膜上に存在すると考えられるLC3のII型も細胞外に放出されることを明らかにした。一方atg7-/-マスト細胞はIgE刺激に伴うIL-6などの炎症性サイトカインの産生や、MAPキナーゼ系のリン酸化には障害が認められなかった。以上よりマスト細胞では恒常的にオートファジーが誘導されていること、抗原刺激によるマスト細胞の脱顆粒にはオートファジーが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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