研究概要 |
研究目的:MR1拘束性T細胞は、可変性の限られたT細胞受容体を発現するMR1拘束性のリンパ球である。これまでの研究で、多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)において、MR1拘束性T細胞は病態抑制に関与することを示した。また、本申請研究における昨年度までの研究で、関節炎においてはエフェクター細胞として機能することを明らかにした。本年度は、ヒトMR1拘束性T細胞を認識する抗体を得たので、自己免疫疾患病態にMR1拘束性T細胞の動態を解析した。 結果と考察:MAIT細胞については、末梢血αβT細胞において、健常者で平均3.92%をしめる単一のα鎖を発現する細胞としては大きな細胞集団を形成することが明らかとなった。自己免疫疾患である多発性硬化症では、平均2.32%、再発期MS患者で平均0.73%であり、MS患者では再発期,寛解期とも健常者と比べ有意に低値であり、疾患活動性と相関していた。健常者ではMAIT細胞の頻度とCD4^+NKT細胞,CD56^<bright>NK細胞の頻度との間に正の相関が見られたが、多発性硬化症患者ではこの相関はみられなかった。現在、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスにおいても末梢血における頻度を比較しており、両疾患ともにMAIT細胞の頻度は減少しており、とくに全身性エリテマトーデスにおいてその減少は著しかった。今後疾患活動性との相関ならびに機能解析を行う事が重要である。
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