研究概要 |
1.ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から多能性造血細胞への分化誘導法の確立 胎生14〜15日のマウス胎仔肝からストローマ細胞を培養し、ヒトES細胞と樹立されたストローマ細胞との共培養を試みた。この共培養系においては、培養2〜3日間は、ヒトES細胞は未分化な形態を維持しつつ増殖を続けたが、培養3〜5日目頃より分化を開始した。培養11〜12日目頃には、cobble stone area(CSA)が出現し、その数は次第に増加した。CSA数が最大となる培養14日頃に、共培養されたヒトES細胞を、エリスロポエチン、トロンボポエチン、interleukin(IL)-3、IL-6、SCF(stem cell factor)、G-CSF(granulocyte colony-stimulating factor)存在下で、コロニー培養すると、赤血球、顆粒球、マクロファージ等、様々な血液細胞を含む血液細胞コロニーが形成された。この結果は、マウス胎仔肝由来ストローマ細胞を用いた共培養系により、ヒトES細胞から多能性造血細胞が分化誘導されたことを示している。 2.ヒトES細胞由来ストローマ細胞の分化誘導 動物由来血清及び細胞に依存しないヒトES細胞から多能性造血細胞への分化誘導法を確立するために,マウス胎仔肝由来ストローマ細胞の代替物として、ヒトES細胞自身から、動物血清非依存的に、造血支持能を有するストローマ細胞への分化誘導することを試みた。ウシ胎仔血清も代替物としては、ヒト血清、ヒト血漿、ヒトplatelet lysateなどを用いて検討した。
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