研究課題
ゲノムワイドな手法により我々はこれまでにALKが神経芽腫(NB)の標的分子であることを見出した。ALKは神経細胞に特異的に発現する膜受容型チロシンキナーゼであり、家族性NBにおいても、変異や増幅により恒常的活性化を来たしている標的分子であることが判明している。また横紋筋肉腫(RMS)やEwing肉腫(ESFT)でもALKの高発現が認められているが、発症機構への関与は不明である。そこで、本年度はRMSやESFTなどNB以外の小児固形腫瘍においてALKがその発症・進展に関与しているか否かを検討した。材料としては計204検体の小児固形腫瘍(RMS 70検体、ESFT 96検体、ラブドイド腫瘍18検体、脳腫瘍20検体)を用いた。方法としては、RT-PCRによる発現解析、またHeterodyplex mobility assay法、直接塩基配列決定法を用いた変異解析、SNP arrayによるゲノムコピー数の解析、NIH3T3細胞発現系による機能解析を行った。更にkinase assay、ヌードマウスにおける造腫瘍性も検討した。ALKの発現はRT-PCRを施行したESFT 46検体と脳腫瘍17検体の全検体で確認された。一方、RMSでは17/29検体(59%)、ラブドイド腫瘍では2/8検体(25%)にALKの発現が認められた。RMSの1検体でALK領域の高度増幅を、またESFTの2検体でキナーゼ領域のgermline変異を検出した。このgermline変異はNBでは報告のないミスセンス変異であったため、機能解析を行ったところ、変異ALKをもつ細胞は自己リン酸化が生じていることが判明し、酵素活性の上昇が認められた。また変異ALKをもつ細胞を接種したヌードマウスにおいて腫瘍形成が認められた。以上の結果より、ALKはNB以外の小児固形腫瘍の一部においても発症に関与する標的遺伝子であることが判明した。
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Pediatr Int. Dec.17(Epub ahead of print)
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