研究概要 |
本研究の主題である成長に伴うヒトの制御性T細胞の機能発達とその異常について研究を進め、以下の結果を得た。 1)代表的アレルギー疾患のアトピー性皮膚炎の末梢血中の制御性T細胞の頻度を、FOXP3陽性CD4^+CD25^+T細胞を指標に検討し、FOXP3陽性CD4^+CD25^+T細胞の比率は正常に比べ有意に高いこと、臨床的重症度と相関のあること、治療により正常化することなどから、FOXP3陽性制御性T細胞がアトピー性皮膚炎の病態に何らかの関与をしていることを明らかにした(Ann Allergy Asthma Immunol, in press)。 2)CD4^+CD25^+TにおけるFOXP3発現欠損と遺伝子解析に基づき、依頼のあったIPEX疑い症例を積極的に解析し、我国における新たなIPEX症例の発掘に努め、世界で初めてとなるネフローゼ症候群を呈したIPEXを同定した(Pediatr Nephrol,2009 Feb 3, [Epub ahead of print])。 3)最近、ヒトの制御性T細胞が非制御性T細胞に比べIL-7R(CD127)発現が微弱もしくは欠損していることが知られている。すでに診断のついたIPEX症例を対象に、IL-7R(CD127)発現とFOXP3発現との関係を検討した。興味あることに、IPEX症例のうち臨床的に軽症な例でFOXP3発現が欠損しているにも関わらず、正常に似て末梢血中にCD4^+CD25^+CD127^<dim/->T細胞を検出した。重要なことにこの患者CD4^+CD25^+CD127^<dim/->T細胞は機能的には正常に比べ弱いものの制御性T細胞としての抑制活性を呈することを観察している。症例を追加し解析を進行中である。
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